そう思う夜が、たまにある。
誰かと飲むのが嫌いなわけじゃない。わいわいする夜も好きだし、仲のいい人と話しながら飲むお酒はそれはそれで美味しい。でも、なんとなく今夜は違う、という感覚がある。うまく言葉にならないけれど、誰かに気を使う余裕が今日はない、とか。頭の中にあれこれ残っていて、ひとりで整理したい、とか。そういう夜。
そんなとき、ひとりで飲みに行くという選択肢が、札幌にはちゃんとある。
—
カウンターという場所のこと
一人飲みといえば、やはりカウンター席の話をしなければならないと思う。
カウンターはすこし不思議な場所で、隣との距離はとても近いのに、それぞれが自分の時間を持っている。誰かと話してもいいし、黙ってグラスを傾けていてもいい。お互いに干渉しない、という暗黙の了解がある。あの空間の緩さは、テーブル席とは明らかに違う。
札幌のすすきのや周辺には、カウンターだけの小さなバーや、一人客が当たり前に来る居酒屋が点在している。観光地というより、街に溶け込んだ店。常連らしい人が静かに飲んでいて、マスターと二言三言交わして、また黙る。そういう店の空気は、慣れるとなんとも居心地がいい。
初めて一人で入る勇気がいるのは確かだ。でも、一度扉を開けてみると、意外とすんなり受け入れてもらえることが多い。一人で来る客を、あの手の店はだいたい歓迎している。
—
お酒と、ひとりでいることの相性
なぜお酒はひとりで飲むとき、あんなに思考を動かすのだろうと思うことがある。
誰かと話しているときは、会話の流れに乗ることに意識が向く。でも、ひとりのときは、グラスを持ちながらぼんやり考えることができる。今日あったこと、最近気になっていること、特に何でもないこと。アルコールが少し入ると、普段より素直に自分の気持ちと向き合える気がする。それが心地よくて、一人飲みをやめられない人は多いんじゃないかと思う。
また、お酒の種類によって気分が変わるのも面白い。ビールで始まる夜と、ウイスキーで始まる夜では、どこか違う場所に行くような感じがある。ハイボールを飲みながら、自分が今どんな夜を過ごしたいのかを少しずつ確かめていく、そういう時間も悪くない。
—
札幌の冬と、一人飲みの親和性
これは個人的な感覚かもしれないけれど、札幌の冬と一人飲みはとても相性がいいと思っている。
外は寒くて、早く暗くなる。どこかに寄り道して帰りたい気持ちが自然と高まる季節だ。そして、温かい店に一人で入って、熱燗でも日本酒でも飲みながら、窓の外の雪を眺める。あの感覚は、他の季節ではなかなか味わえない。
夏の一人飲みも好きだ。少し汗をかいて、冷えたビールを一杯だけ飲んで帰る。でも、どちらかといえば冬のほうが、一人でいることの良さを深く感じる気がする。寒さが、ひとりの時間をよりくっきりとさせてくれるのかもしれない。
—
「また来よう」と思える店を探すこと
一人飲みの醍醐味のひとつは、自分だけの「行きつけ」を見つける過程にあると思う。
最初はちょっと緊張しながら入る。メニューの読み方もわからないし、どのくらい飲んでいいのかもよくわからない。でも、何度か通ううちに、自分のペースがわかってくる。この店では何を飲む、何時ごろ来る、どのくらいで切り上げる。そういう小さなルーティンができてくると、その店がひとつの「居場所」になっていく。
別に毎週通わなくてもいい。ちょっとしんどい夜に、ふと思い出して寄れる店があるというのが、なんとなく心強い。そういう場所を持っている人は、街との付き合い方が豊かだと思う。
今夜がそういう店を探す最初の夜になるかもしれない。
—
マイすぽっつでは、一人でも気軽に入れそうなバーや居酒屋をまとめています。「今夜はひとりで飲みたい」そう思ったときに、参考にしてみてください。